Schiele1918

アルキメデスの大戦のSchiele1918のネタバレレビュー・内容・結末

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

田中泯の演じた平山造船局長の語り。
あれほどの壮絶で力の入った大和轟沈を見せられた後の戦艦大和依代論は正直なところ無惨に過ぎる。
また、史実では秘匿とされて誰の称賛も哀悼も受けず沈み、戦後にこそ帝国海軍の秘密兵器として戦後の国民感情を昂らせた事実は齟齬として大きすぎる。
お話としての形式を整えるために戦後史や戦争への思いをやや都合好く想定した作りになっているかも知れない。ただこれは個人の取り方で変わると思うけど。

櫂少佐の最後のシーンは映画的な示唆に富んだ美しいエンディングでよかった。また、舘ひろし演じる山本五十六の“優れた”軍人の精神性は繊細で良い演出でした。

漫画も中国編までは既読だが、大戦パラレルものはジパング然りアルキメデスの大戦然り敗戦と崩壊する帝国のビジョンに漫画が耐え切れていないような気がする。
この世界の片隅になど、市井の声によった作品が優れているほど軍人の活躍や大局を語る語り口はハードルも上がる。
山崎貴監督のVFX技術を扱う腕が見れた一方で、“許せる大和”ありきの物語に纏める点には納得と違和感と両方を感じた。
無惨に敗れ、不幸と破綻を撒き散らした戦争を描く難しさが未だにある事が良いことなのか嘆くべきことなのかも含め、立場でどう捉えるか変わる非数学的な映画です。
Schiele1918

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