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アルキメデスの大戦のHALのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
4.7
山崎貴監督の新作ゴジラが発表されてめちゃくちゃカッコよかったので、賛否分かれがちな山崎貴監督作品の中でも異様に評判がいい『アルキメデスの大戦』をやっと観た。ちょっと信じられないほどすごい映画だった……

日本は(今でも)巨大ロボを作る国だ。そういう「巨大な恐ろしいもの」を人間がなぜ作るのか、なぜ魅入られてしまうのか。しかもそこに設計者と国と国民それぞれの観念的なエネルギーが集約される。どこかオカルトな雰囲気もあって、国民感情が戦争を起こし、また戦争を止めることもできる。終盤の二人の設計者が交わす会話の絶望の強度が凄まじい。

「私は、この日本という国の、依代となる船を創りたいのだよ」
「……だから、この船にふさわしい名前を考えてある」

『日本のいちばん長い日』を継ぐ会議映画の傑作であり、設計者と兵器の美をめぐる問いの立て方は『風立ちぬ』へのアンサーのようでもある。今日はこれから『君たちはどう生きるか』を観に行くが、さて、どうなるか。
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