欧米列強との対立が激化している第二次世界大戦前の日本。米英との戦争に向けて軍上層部は大型戦艦を造ろうとしているが海軍少将、山本五十六はこれから航空機が戦闘の核となると言い空母の重要性を説くが、空母の建造は劣勢。
そんな中「美しいものは何でも測らないといけない」と言う軍人嫌いの学生と出会う。彼の“美しさ”への情熱と計算能力の高さに好印象を持ち、でたらめな費用で戦艦を作ろうとする派閥の計画を崩すために彼に協力を依頼する。ーー
本作への一言
『フェチも積もれば国を動かす』
まずもって新潟が誇る山本五十六先生。国の未来を見据えて今後の軍備拡大を考える山本を舘ひろしさんが演じていて冷静かつ温かみのある口調がすごくよかった。主人公の櫂直を演じたのは菅田将暉さん。頭の回転が早く、リアリストで出てくる言葉はどれも皮肉めいていてハマり役だったと思う。
武力ではなく知力で大戦に向かおうとするストーリーが斬新で引き込まれた。特にお座敷で舞妓たちの体のサイズを測ろうとする櫂の登場シーンがインパクト大。測らずにはいれない彼の癖。まさか日本の行く末を左右することになろうとは。戦艦を自分の手で測るシーンはシュールそのもの。部下の田中とのやりとりは笑いました。
数字と戦争への考え方、登場人物たちの思惑。ストーリーが進むのと比例してどんどん引き込まれてあっという間の120分。クライマックスはまさかの展開だけど、歴史改変されることなる終えていく中で戦艦『大和』に託した平山中将の想いが伝わってきたのもよかった。ラストの櫂の涙は全国民が大和に対して思う夢や希望から来るものじゃないことがわかる分、設計者としてなんとも言い難いものから出たものだろう。
櫂の無茶な言動に振り回される田中正二郎役の柄本佑さんがいいアクセントで戦争映画の暗さが中和されていました！
