おっくー

アルキメデスの大戦のおっくーのネタバレレビュー・内容・結末

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

開始のヤマトの沈没シーン、引き込まれるような戦闘描写、軍艦対戦闘機の戦闘の不利さを3分程度でまとめた好描写。劇場で見たかったと心から思う。
最初の山本五十六が戦闘機の発射を見送るシーン。今思うと、五十六の反戦的ではなく、好戦的な性格を描写していたのかと感じた。
ただ、何も知らなかったので、当時の海軍内における空母の大切さを印象づけるシーンだとミスリードされた。
その後、大臣と結託する悪の大将のような平山派と正義を訴えるような藤岡派の会議におけるぶつかり合い。これもミスリード。ただ、この会議後の展開はとてもスピーディで、ストレスなく見れた。舘ひろしと菅田将暉の名演技があってこそのこの映画だと強く感じた。
ただ、このあたりから五十六の反戦という考えが強調される。いわゆる伏線だったのかもしれない。
途中途中の菅田将暉の数学のシーンはワクワクするようなもので、楽しく見れた。無学であるので実際そのような数式が可能であるのかは不明であるが、実際にこのような人物がいればなあ、と思うほどには楽しく見れた。
最後、大和の本当の建造目的が明かされるシーン。全ての伏線が回収されていく様は痛快であった。菅田将暉が図面を書いているときの謎の笑み、また、長門を見にいった際、わざわざ美しいと表現したシーンの意味、冒頭の凄惨な沈没シーンの意味、1000回に1回の波を考慮してでも取り下げた藤岡の意図。全ての謎が一気に回収された。素晴らしい。その一言。

ただ、何にせよフィクション感が強い。二項対立を起こしたほうが見やすいのは確かではあるが、いささか行き過ぎているように思う。中立的な視点が欲しかった。勢いのままに進んで、勢いで終わった。お嬢様が大阪に来たシーン、そもそも菅田将暉がヤマトの設計図を完成させてしまっているという事実に対する追求、残った疑問はある。
ただ、見終わったあとにそんなものは忘れてしまうほど、最後のシーンは見事だと思った。名映画。
構成はだいすき。
おっくー

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