シネマスナイパーF

アルキメデスの大戦のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
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大和?山崎貴??えっ???
〜MARINE BATTLESHIP YAMATO〜
とはならず安心
「いつか戦艦大和を題材にした作品を作りたいと思っていました」ってあなた自分の作品忘れたの

どこまで原作通りかはわからないけど、上手くアレンジしてたしまとめていた
てかよくこの地味な話を映画化したな
この体積で2時間10分は時間かけすぎだけどね


好みの問題なのは百も承知で言うけども
櫂がもっと大和を愛してしまった話を見たかった
自分の手で大和を書き上げた事実がもっと彼の中で大きくなっていたなら、この話の切なさがより際立ったと思うんだけどな
こんな美しい戦艦が作られてしまったなら、国民は喜び、戦争へと向かってしまう!絶対に造ってはいけない!こんなにも美しいけど造ってはいけないんだ!という思いが強ければ強いほど、クライマックスがもっとエモーショナルになったのにな〜
そこに今以上に一番焦点を置いた話になっていたなら、もっと好きな映画になっていたかな
設計書が出来上がった段階で、実際の映画のシーンよりもずっと長く見つめてしまって田中に「どうしました?」と言われたりとか、そういう細かい演出の積み重ねでもいいから、欲しかったな


菅田将暉のクセの強さが上手くハマってたと思う
上手く言葉に表せないんだけど、菅田将暉のクセの強さが変人櫂直にピッタリだった
クセの強さだけではなく、同世代の中でも飛び抜けている演技力を遺憾なく発揮していて、会議シーンでの板書と台詞の同時進行は大物たちに囲まれた中で本当にお見事にやりきっている
柄本祐さんの真面目くん演技がまた似合わないけど悪くなく、いいコンビだった

舘ひろしは山本五十六にしては身体がデカすぎる
ただ、柔らかなカリスマ性はちゃんと溢れ出ていた
逆立ちをやってた意味は最後までありません
彼の真意もまた、結末の切なさを助長していて、國村隼の台詞に我々も目を覚ます


回想に入るときが上手くなかったな
何かが目に入ったことでそれをきっかけに回想に入ったのかと思ったら本当にただ急に立ち止まって思い出しただけっていう
そこで描かれていることも他に上手いタイミングとかあったと思うし

尾崎のお嬢さんも、お嬢さんが櫂を好きになる理由がはっきりしないのでこの映画だと都合のいいキャラクターとしか扱われていない気がするのが残念
浜辺美波さんによる寝顔は本当に誇張抜きで測りたい美しさだったけど

窪田等さんのナレーションが序盤にだけ結構あるってのが変
あと真ん中に縦書きでテロップ出ると気分は上々っぽく見えてしまった
これは本当に個人的な文句かな多分


良いところとしては、先述した回想の直後、船から見下ろした市井の人々が戦火に燃え始める幻覚を見るシーンが良い
先述した菅田将暉が素晴らしい会議シーンでの田中泯さん演じる平山造船中将のメガネの演出そして唐突な笑わせ口喧嘩
それから、無残な死体をちゃんと用意して映している冒頭のシーン
櫂にとっては負け戦であることは歴史の事実として明確なうえに、実際ここまで悲惨な事態が起こるってことを初めに見せておくというのは悪くないと思う
それでもまだ違和感を感じるCGは多かったけどな
地味なところだけど、小型船に乗ってるとき背景見る限り割と揺れてそうなのに俳優たちが全く動じないところ、CGと演技の演出がズレちゃってて正直萎える
尾崎のお嬢さんの背景の戦火もイマイチだったな


意外と色んなとこに使われているCGも、ALWAYSの頃から成長したな
惜しい
もうちょっと短くできそうなところも含めて