Hotさんぴん茶

アルキメデスの大戦のHotさんぴん茶のネタバレレビュー・内容・結末

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

戦争映画なんだけど、戦場が舞台じゃないおかげか、見易かった。
時にコミカルですらあった。

当時の軍の雰囲気とか、こんな感じだったのかな?常にピリピリ殺伐としているかと思いきや、意外とワイワイ盛り上がっていたり。

軍の会議は途中、まさかのちょっと笑えた。(戦争映画で笑うとは思わなかった。)というのも、途中お互いの悪口合戦になっていたから。あとその時の海軍大臣を小林克也が演じていたのだが。自分の中の彼のイメージがベストヒットUSAのMCだったので、なんだか今にも英語話し始めそうというか。そういう人が日本軍の役であるのが意外で面白かった。しかし、貫禄もあり適役だった。

にしても軍って役職がついちゃうと実がなくとも、なんだかんだ逆らえないのね。現代の会社も似たようなもんだけど…。櫂とか、少し浮かれた学生から一転、一応役職付きになったら軍では一目置かれたし。

菅田将暉演じる数学者、櫂は個性的なキャラクターで面白かった。(良い意味で)あまり金に苦労してないボンボンな感じ。また漫画に出てきそうな美青年、と言った雰囲気。時々文語調で喋っているのも印象的。
恋の相手の鏡子も少女漫画みたいな美少女で、振る舞いも喋り方もお嬢様でとても絵になった。

櫂の初登場シーンの舞子さんや芸妓さん(?)との戯れがもうふざけてるとしか笑
しかしこんなに派手に遊んでも、品の良さは抜け切れないお坊っちゃま!

またはっちゃけつつも、遊び方が理系的なのがシュール!(紙飛行機を何か理系の思考をもって操ったりと面白かった。自分の目の前でもその技を見せて欲しいくらいだ。)

田中海軍少尉を演じる柄本佑の、いかにも生真面目そうな役柄が良かった。
純朴そうで、ずいぶん若く見えるのも驚き。
ただ真っ直ぐすぎる性格で、いったん人を信頼するとコロッと態度変わるから少し危なっかしいが…笑

戦艦大和のシーンは迫力があった。自然なCG。
自分は戦艦大和のことに詳しくないが、こうやって沈む将来をわかっていながらも、大和を作るしかなかった科学者が本当にいたのだろうか。
そう思わせるリアリティ。それ知りつつ、運命を変えられないラストの櫂。彼の何ともいえない表情が、目に焼き付いた。

序盤・中盤の櫂は、美しいものはなんでも計りたくなるのだ〜!!なんて変態的な動きを見せていたのに。こんな真面目そうな顔を見たら、なんだか複雑な心境だ。

大きな歴史に巻き込まれて、もう悪とか善とか言ってられない人々を見た。そんな時代のうねりを感じた作品。