排路

新しい遺言の排路のレビュー・感想・評価

新しい遺言(1936年製作の映画)
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サッシャ・ギトリ特集@シネマヴェーラ最終日(わたしのなかでは)

召使はさっきここにいたからこっち側のドアから出てくると考えるまでもないくらい極めて自然なことすら、ギトリは主人たちが見ている方とは別のドアから召使を登場させ、揺さぶりにかかっている。

話者の片方のセリフが決壊している場合は聞き手の冷静な返事によって話者の狂った様が強調されるけど、人間関係や個人の人物造形に一貫性も物語もなく、その時は安定した心の持ち主に見えた人でも、コロッと気の狂ったように話し始めるのを見て、作中人物の関係性の混沌に唖然とし、笑うしかなくなる…。まともな人は誰もいないのかと疑問が浮かぶまえに、まともと異常の間には境界線がないことをすんなり受け入れられる。
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