すがり

マンディ 地獄のロード・ウォリアーのすがりのレビュー・感想・評価

2.5
アートって要は裸の感性なんですね。

ニコラスケイジが映画に出続ける過程で築いたニコラスケイジというジャンルとも既存のジャンルとも違う。
試写後にライターの方が敢えて言うならファンタジーだとそう言っていましたが、いや確かに。

filmarksのジャンル分けだとアクションホラースリラーってなってますけど、ファンタジーの方がよっぽどしっくりくるし、
それでもジャンルという枠に嵌めないで芸術という言葉に閉じ込めちゃった方が良いと思います。


物語としてはね、無いです中身。
「カルト集団に妻を殺された夫が復讐する」
本当にこれだけで、他に何の肉付きも無いです。
これが2時間。
でも決して引き伸ばしや間伸びが起きてる訳じゃなくて、話の進みそうなシーン以外は丸ごと全部監督の裸でみっちりなんです。

この手のアーティスティックな映画は監督の感性が剥き身で襲ってきますから、ほとんど始まった瞬間に分かるんですね。
あ、これ死んだなって。
それはさながら聖剣に裁かれる罪人。
この剣がたとえ胸を貫こうとも、魂が清浄なれば下された裁きの後に息を吹き返すだろう、と。

私は死んだままでしたね。

一応単純なニコファンやスプラッタファンでも楽しめる箇所はあるんです。
それこそ古典ホラーちっくな演出や、カルトコメディ、ニコラスケイジの顔芸など。
何でこんなに表情が面白いんですかね。

ニコラスケイジが虎シャツにブリーフで多分ウォッカがぶ飲みしながら絶叫するシーンなんて私のように死んだ人間にとっては完璧なハイライトですよ。

いやーでも、辛い。
アート感性が違うからには演出も視覚効果もほぼ全てが合わない。

まず画面に酔う。
陶酔するんじゃないです乗り物酔いするんです。
ぐにゃぐにゃのぐわんぐわんでふわっふわっすよ。

そして明滅が本当にきつい。
単純な光でも辛いのに緑はもはや拷問。
そう、色彩も感覚が違うので終始目が痛い。

元々頭痛持ちではあるけど、呼び起こされちゃいましたね。
もし興味のある人は感性がズレてた時のために頭痛薬用意しておくと良いかもしれません。



最後にライターの方が言っていたこの監督が影響受けたという映画二作で、
SFコンクエストともうひとつなんでしたっけね。
感性が合致した人はそれらも楽しめるんだろうか。
すがり

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