一人旅

さすらいの青春の一人旅のレビュー・感想・評価

さすらいの青春(1966年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ジャン=ガブリエル・アルビコッコ監督作。

フランス・ソローニュ地方を舞台に、寄宿学校に通う青年と森の中の館に暮らすお嬢様の恋を描いた青春ドラマ。

フランスの小説家アラン=フルニエの1913年発表の代表作「グラン・モーヌ」の映画化で、美少女イヴォンヌ役はルネ・クレマンの『禁じられた遊び』(1952)のポーレット役で知られるブリジット・フォッセー。無垢な少女だったブリジット・フォッセーが凛とした女性へ成長した姿を拝めるレアな青春映画でもある。

フランスのソローニュ地方にある寄宿学校に転校してきた青年モーヌ。ある日、担任教師の両親を迎えに行ったモーヌは途中で道に迷い森の中の館に辿り着く。そこでモーヌはイヴォンヌという名の美しいお嬢様と知り合い交流を深めた後、一旦別れる。寄宿学校に戻ってもイヴォンヌのことが忘れられないモーヌは、親友フランソワと協力して森の中の館を探しに今一度旅に出る…という“青年とお嬢様の恋の行方”を、モーヌと親友フランソワの友情、フィアンセに逃げられ絶望する友人フランツに対するモーヌの後悔と自責の念を中心に綴ってゆく。

友情と愛情を天秤にかけた悲哀に満ちた物語。イヴォンヌへの想いを極限まで高め挙句の果てにはパリまで彼女を追いかけに行ったモーヌ。やがて晴れてモーヌはイヴォンヌと結ばれるが、男友達との友情が悲しくも二人の距離を遠ざけてゆく。「友情なんて気にしないで、ようやく掴んだ目の前の幸せを享受しようよ」と思うが、義理堅いモーヌはそうはいかない。友情のために愛を犠牲にしてしまうのである。愛の儚さと青春の儚さが、徐々に逼迫してゆく空気感の中で表出される。

本作の特徴は独特の映像テクニックにある。森の中の館とイヴォンヌとの出会いを幻想的に表現するために、意図的に画面をぼかして幻想世界を演出する。それが少々やり過ぎな印象で、最初はDVDが故障したのかと思った。画面全体が酷くぼけている状態で、良く見ると撮影レンズ自体に白い汚れ(?)を付着させているように見える。たとえて言うなら、メガネを外した状態で映画を観ているような感覚に近い映像で、視力の悪い人あるあるのあの気持ち悪い感覚に襲われる。アルビコッコ監督こだわりの映像テク。残念ながら個人的には好きではない。
一人旅

一人旅