イングランド女王エリザベスとスコットランド女王メアリーの繰り広げるドロドロの騙し合い。王位継承が本作のカギ!
エリザベスを先に書きましたが、あくまで本作の主人公はメアリーです。
“Mary Queen of Scots”という原題から明らかですね。
演じたのは新進気鋭の若手有望株シアーシャ・ローナン。正直私彼女の出演作は「レディバード」しか観たことありません。
しかし、芯の強い、そして男どもや引き起こる困難に屈しない毅然とした演技は素晴らしかったです。18歳にして未亡人になり、それでも恋をして、王政統治も考え、国を支配したいという欲がひしひしと感じられる演技でした。
そして、マーゴット・ロビーには驚きましたね。彼女美人なんですよ。なのに史実に基づいて天然痘に悩まされ、厚化粧で誰かわからないような風貌に様変わりしていて、いや役者魂を感じました。「スーサイドスクワッド」のハーレクインのイメージが強く、「アイトーニャ」も観ていないので、本作をきっかけに彼女の出演作を色々と漁ってみたいと思いました。
肝心の中身については、正直そんなに期待してなかったんですよ。それがいい意味で裏切られました。
どうしても「女王陛下のお気に入り」と比べてしまうのですが、全然引けを取ってなかったです。
「女王陛下の〜」は主要人物3人の演技や撮影技法に圧倒されましたが、本作は脚本が素晴らしかったと思います。史実に基づいており、大きな意外性はないのですが、女同士の騙し合いに限らず、女王に君臨する女に対する男の嫉妬がとにかくドロドロで、もはや誰も信じられない状態です。
唯一残念だと思ったのは、最後駆け足でクライマックスまで進んだことぐらいでしょうか。124分の映画ですが、正直150分ぐらい観せてもらいたかったぐらいです。
自分の信念に従い、生涯独身を貫いたエリザベスに対比するように、15歳で結婚し、18歳で未亡人、その後再婚もして子供にも恵まれるメアリー。エリザベスは結果的に45年間王女として君臨し続けますが、一方のメアリーは…というところですね。
ただ共通するのはどちらもブレずに自分の芯を貫き通したこと。終盤の唯一2人が顔を合わせるシーンがあったのですが、本作の特に見せ場の部分です。
個人的にその後メアリーが死刑になって、一瞬声を上げて涙を流しながらも、すぐにいつも通りの毅然とした王女の立ち居振る舞いに戻ったエリザベスの風格に圧倒されました。
私は本作の予告を観たことがないし、正直プロモーションの弱さが残念で仕方ないなと思ったのですが、もっと評価されてほしいなと。