ポルりん

怪談一つ目地蔵のポルりんのレビュー・感想・評価

怪談一つ目地蔵(1959年製作の映画)
2.6
■ 所感

『四谷怪談』や『累が淵』に似ている話だが、様々な点で昔の『四谷怪談』『累が淵』には色々と劣っている印象を受ける。
もちろん近年映像化された『四谷怪談』よりは遥かに上だと思うが・・・。


【あらすじ】

盗人・伝蔵は、仕事の前に赤ん坊のお浪を古池べりの一つ目地蔵の前に捨てたものの、忍び込んだ間柄家で少年・京之介に刺されて果てた。
20年後、御家人・間柄京之介は江戸で評判の水芸師・小浪太夫を手なずけた。
彼女こそお浪である。
お浪も京之介に胸を焦がしていた。
その京之介が20年前に父・伝蔵の命を奪ったことも知らずに。
だが、京之介は色と欲に動かされて、お絹にぞっこんとなる。


■ 演出

近年のJホラーよりは全然怖いと思うのだが、それでもこの時代の作品と比べると落ちてしまう。
ラストの舞台装置なんかはいいんだけどね・・・。


■ 演技

基本的に全員上手いのだが、特に素晴らしいのがお浪役の「千原しのぶ」。
特に劇中で披露する絶妙な水芸なんかは、思わず見入ってしまう。
それにしても美人ってメイク次第でこうも恐ろしくなるもんなんだな・・・。


■ 脚本

キャラクター同士の複雑な因果関係に関する伏線の張り方、そしてオチのつけ方は見事だと思う。
そしてこれを僅か1時間ばかりで描いているから驚きだ。

親子そろって各々の恨み相手を祟り殺すのもいいと思うのだが、それに関しては少々無理矢理すぎる気も・・・。
というのも、父親の方は幾らでも化けて出てくるタイミングがあっただろうに、何で娘が死んでから急に化けて出てくるのかと??
今まで十年以上の間、一体何をしてたんだと??
もっと早く化けて出たら娘は死なずに済んだかもしれないのにな・・・。(まぁ後々生き地獄にはなっていただろうが・・・。)

それとタイトルに「地蔵」が付いている割には、特に「地蔵」が何かする訳でもないのはどうなんだろう??
序盤に目が光ったくらいで後はその場にいるだけ。
特に何かする訳でもない。
正直、地蔵がいようがいまいが物語に何の関係もない。
せっかく「一つ目地蔵」という美味しい材料があるのに、もったいないように感じる。

もしかしたら、この「地蔵」が親子を幽霊にするトリガーとなっているのかもしれないが、だとしたら分かりにくすぎる。
ポルりん

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