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岬の兄妹のやのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
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ひとは転落する時、必ずしもそこに穴なんて空いていないのだろうと思った。さっきまで歩いてきた道と全く同じ、何の印もついていない平坦な道を行くと、気付けばそこは穴の中。越えるわけがないと当たり前に思っていた境界線は、一度越えればもうそれまで。兄はあの後も、変わらず電話を取り続けるのだろうし、ガムテープだらけの貯金箱は、これから何度も割られては修復されての繰り返しなんだろう。けれども"転落"だなんて言葉を使うのは多分間違ってる。一般的な正論だとか尊厳だとか、そんなのは"生活"の前では甚だ無力。
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