菊

岬の兄妹の菊のレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.3
自分には演技の善し悪しがあまりわからないが、目に映る二人は紛れもなく兄妹で、障害を抱え、その日の食い物もままならない暮らしをしていた。印象的だったのは、兄がせっせと作ったビラを、妹が無邪気にばら撒いて無駄にしてしまうシーン。当然ながら兄は苛立つのだが、このシーンにおいてはどこか振り回されるのを楽しんでいるように見えた。心から立腹したのなら、往来でもお構いなしに怒鳴りつけ、暴力に頼っていただろう。そうしなかった理由に、金が手に入ることによる心の余裕があるのだとしたら哀しい。

この兄妹は共依存というよりも、互いが互いの羈絆になっているというべきか。男たちに「わたしのことすき?」と問いかける甘い声が、妙にこびりついている。
菊