セサミオイル

岬の兄妹のセサミオイルのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.5
これは映画だからファンタジー(貧困を描いてる割には)でとどめてるけど実際の貧困はもっと酷いし救われない。
富裕層の日常が庶民に想像付かないように貧困層の日常も日々想像付かない事が常態化している。極端な状況が日常になったら人間はどこに癒しや欲望を向け、喜びを見いだすのだろうか。兄は妹を守りたい。妹は社会と関わり社会に貢献したい。政府が保証してるはずの「健康で文化的な最低限度の生活」なんて悠に破綻して尚生きようとする彼らの目に映る明日とはなんなのか。

世界観はえげつないけどホラーを撮るつもりじゃないし、お布団シーンあるけど扇状的なポルノを作ろうとしてない。しっかりと人間ドラマを撮りたいという監督の並々ならぬ決意が伝わった。
ただし人によってはこれ最高!探し求めてたオカズに出会えたよ!って人が少なからずいる訳でその辺は世の中に潜む多様性の深い闇だよなと思いつつ。