サマータイムブルース

岬の兄妹のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.8
足が不自由で引き摺って歩く兄の良夫(松浦祐也さん)
自閉症で知恵遅れの妹、真理子(和田光沙さん)

世の中には貧困に喘いでいる人たちがたくさんいます
豊かだった日本ははるか昔、デフレも終わり、今や給料が上がらずに物価だけ上がるスタグフレーションの時代に突入しています

生きづらい世の中で特に若い女性はそれを強く感じてるんじゃないかな
だいたいいつも煽りを食うのは女性や子供たちです
貧困に喘いで、あるいは軽い知的障がいがあって、AVや風俗に流れていく女性がたくさんいます

ナイナイの岡村さんの発言が世間から猛バッシング受ける中、現実問題としてあり得ることだと思います

ティッシュが甘い味だというのは前にどこかで聞いたことがあります
現実的に、障がい者手当とか、なんなら生活保護を受給することだって出来ると思うんだけど、兄妹にそんな知恵があるはずもなく

ただ、何度もお金をせびりに行った知人の警察官、溝口(北山雅康さん)は、本当に彼らのことを心配しているのであれば、金は貸せなくても、それをアドバイスすることはできたのではないかと、そう思うのです

「僕だったら結婚してくれると思った?」
映画の中で一番印象に残ったセリフです

本番ありのデリヘルまがいの仕事をして、真理子は妊娠してしまいます
中絶手術をするお金もない、困った良夫は一番のお得意さんだった中村(中村祐太郎さん)に、「良かったら結婚してやってくれないか」と頼みます

多分真理子は本気で中村のことを好きになっていたんだと思う
中村もまんざらではない様子だったし
だけど言い放った一言

中村も小人症で、常人とは少し違います
兄の、お前も障がい者なんだからお互い様だろ、という卑屈さが垣間見えます
同時に真理子が切なく思えてきました

重いテーマの割にコミカルなシーンもあって、想像してたよりは見やすかったかも

ラストの電話は誰からだったのだろう
私は◯◯からだと信じたい