とにかく辛い、辛い、辛い。
色んな意味で逃れようのない生き地獄と、それでも懸命に生き続ける兄妹の姿はいくら犯罪に手を染めても責めることは一切できないものでした。
当時散々言われていたでしょうが、「これが長編第1作目!?」と疑ってしまうほど、全シーンほんとに洗練されていて、汚いはずなのにどこを切り取っても絵になる、またセリフひとつとっても多様なニュアンスをふくんでおり、マリコの存在もまた各シーンを豊かにしていました。
只事ではないように見えて一人一人が必死に生きているだけ、こう生きるしかないだけであることを受け止める必要がある作品だと思います。
福祉が充実していても、それに頼りやすい風土、頼りにくい風土があり、日本は確実に後者。手を差し伸べきれない現実の自分に一番近く感じるハジメ君の存在も本作にとって大事な要素でした。