《貪り生きた二つの魂。》
『さがす』が個人的にかなり好きな作品だったので、
監督の長編デビュー作を。
存在と大体のあらすじは知ってたんですが、知ってたからこそ中々に観るまでに二の足を踏んでました。
足の悪い兄と、
自閉症の妹。
この二人だけでもがき、貪りながら生きていく物語。
いやぁインパクトがえげつない。
もう開始数秒で『あっ、これは幸せな物語に絶対ならないな』と察しました。
金に困り、
妹を一回一万で売り出し始める兄。
絶対に踏み外しちゃ行けないラインを踏み外すあの瞬間の緊迫感が凄まじかったです。
そこからはもうあまりにあまりな展開で、
観ていると不思議と色々な事が麻痺してきます。
劇中唯一まともな考えを持った人が、
『お前がやってることは犯罪だぞ!』と超ド正論を言ったところでこっちもハッ!となってしまいました。
笑いは狂気と紙一重と良く言いますが、
本作もかなりぶっ飛んだシーンがあって、
それは笑って良いのかどうなのか…
場面場面で最悪の展開になるフラグがありながら、
それだけは回避する。
でもだからと言って幸せにもならない。
どう転んでも悪い方にしか進まなくて、
その絶望さが辛いです。
一心不乱にマックを貪り食うあのシーン。
めちゃくちゃ汚いはずなのに、
不思議とマックを食いたくなりました。