少女223号

岬の兄妹の少女223号のレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
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自ら進んで本能に従って気持ちいいことをして、お金をもらって、美味しいものを沢山食べたりオシャレしたり花火したり、離れたくない人が出来たり、マリコにとっては良かったのかもしれない。それを世間と兄の良心と私の視線が受け入れられなかっただけで。

より良い方向に進むために多くの選択肢を探し出し行動する、ことが出来れば別の未来があったんじゃないかと思う。何事もそうだし、一見当たり前に思える事なんだけど。それを思いつかない程とっくの昔には取り返しのつかないところまで来てしまっていたんだろう…

何より自分の卑しさや偏見が炙り出された。

倫理観や矜恃や信念や正しさなんて何の役にも立たなくて、全てが目の前の生々しい”今"に覆われている。
ただただ必死に生きている人間だということを忘れない。障碍者であろうが、セックスワーカーであろうが、ゴミを漁っていようが、立派な職に就いていようが、そして兄を蹴った男であろうとも。

鬱や胸糞で済ませたくないと思ったが、それもまた偽善に思えた。

死ねないし殺せないから続く現実。けど生きていることを絶対に否定したくはない。
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