emily

岬の兄妹のemilyのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.8
自閉症のいもうと真理子と港町に暮らす足の悪い兄。仕事を失った兄は、妹がある時エッチしてお金もらったのをみて、売春の斡旋を思いつく。苦労の連続だが徐々に軌道にのってくると、妹が少しずつ変わり始める。

貧困で、食べていくこともできなくなり、どうにかやっとおもいついた策が妹が体を売ることだった。

ただ生きることをする二人。極限でも現実は厳しく、新しい商売も決してうまく行くわけではない。

一つの光が見えるわけでもなく、ただただ痛い現実を投げつけてくる。足さえ不自由でなければ、妹がまともなら。。そうしたらほんとうに現実は変わったのか?

観客に何かを問いかける訳ではない。そこから何かが変わる訳でもない。現実は残酷で、体を売ることで少し見えた明るい外の光も、また遮断される。

それでも、それでもなお現実は続いていく。妹はそこにいて、兄もそこにいる。生きてるだけで幸せだなんてとても言えない。でも生きていくしかない。続けていくしかない。それしかないのだ。

ただ見せられる。いつも目を背けてきたものを、真正面から目をぐりぐり見開いて見せられる感覚。背けてはいけないんだ。見ないといけないんだ、現実を。。
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