八雲

岬の兄妹の八雲のネタバレレビュー・内容・結末

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

辛かった。
開始40分でもう限界。
最後までみきれる自信がなかったが、なんとか見た。
明日一日でも多く生き残るために、
犯罪に手を染めていってしまう過程がなんともまぁ辛すぎる。
自閉症をつのるまりこを1人で面倒見て、
金もないし仕事もない良夫の気持ちは こちら側が測りしれるものでは無いと思う。

こんなに限界なのに、良夫は絶対にまりこを手放さないところ、2人で死ぬ気で手を取りあって明日一日を生き残ろうという2人の痛いくらいに感じ取れる兄妹愛が良かった。

こちら側とは全く違う世界線の人々の話だからこそ、
こんなふうに目を背けたくなったり
最後までぶっ通しで見ることが出来なくなるのだろう。恵まれている環境に、今改めて感謝をしたい。


考察なのだが、まりこが妊娠した時 小人と言われる男性は「マリちゃんのことは好きじゃない」と言っていたのだが、そこがとても引っかかった。
第三者から見ると 好きになってんだろうなとは思ったけど、もしかしたら "小人" は、彼の中の過去の人間をまりこに投影してるだけなのかもしれないし、
見て感じとれることが全てじゃないんだなとも思った。
まりこは反対に 純粋なわけであるから、
今まで求められなかった分、売春では 体が目当てとはいえ客たちは彼女を求めている(彼女自身を求めている人も居るかもしれないが)ため、自身の居場所を見いだしたため、売春に対しても嫌な顔してなかったのではないかとも考えた。まりこがはじめくんに対しても「おしごとする?」と言っていたシーンでは、
本当にそういうことに対して抵抗がないのだなと思った。

演者の全ての演技が、いい意味で胸糞が悪く、
心臓が苦しめられた、、、、、、、。
二度と見たくない映画だが、見てよかったと思う。
同じ日本の中でも、ちょっと外を見ればこのような人達は沢山いる。
今ある境遇に感謝し、謙虚に生きていきたい。
八雲

八雲