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岬の兄妹のseiのネタバレレビュー・内容・結末

岬の兄妹(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

我がの娘を金銭目的でポルノに売る親も世の中には存在するので、この物語も割かし完全フィクションやファンタジーとは言い切れないのだろう。

登場人物が一貫して面白い。
糖尿で勃たないおじいさん、渋っていたが8500円で受ける人、イジメられっ子の男子学生、小人症の人、良夫の上司等々、皆優しさは持っているものの何か違う。
優しさとは無縁ではあったが、違わなかったのはヤクザのような男性2人だけだったのではと感じた。
劇中、ハジメちゃんと良夫が言い争う件があるが、一般的な言葉を放つだけで、良夫には一切響かない。寧ろその言葉を放ったところで問題は解決しない。そういった言葉しか投げ掛けられないハジメちゃんは良夫の言う通り、正に偽善者。
唯一福祉等、公的な場所への架け橋になり得た人物であるにも関わらず行動はしない。ともすると、スクリーンを観ている観客に最も近しい人物のようにも感じた。

ラストは個人的にハジメちゃんからの電話だったのではと思った。
母親からも捨てられ、本当の意味で自分達の身を案じてくれる人など、この世にいないことをどこかで悟っている兄妹は世界の最果てのような岬に立ち、そこに温度の無い音が鳴り響く。

その電話の向こう側がもし自分なら、彼等にどんな手を差し伸べることができるのか、ここまで観てその答えが出せない自分はどこまで行っても偽善者なのかもしれない。
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