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岬の兄妹のMinCのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
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バリケードみたいなダンボールをバリバリ破って、お天道様の光を浴びる。
海へざぶーん。生きてたら、こんなイイ事もあるんですね!…海の匂いがしました…と、少年(そりゃ、そうだ)。

犯罪だ、って言われても、こうしてなんだか互いにお役に立ててもいたりで、善悪の線引きなんて、そう単純に決められるものじゃないし、だからとりあえず社会には「法律」があるのだろうけど、「常識」や「モラル」って何だ?と言えばお国によっても地域によっても人によっても変わる訳で、「法律」だって同様に絶対ではないだろうし。
こうなる前に、失業保険とか、福祉関係の補助とか、行政手段はなかったか?たとえアニに考える余裕なくても、気のいいお巡りの友達は、道筋作ってあげられなかったか?などなどなど色々と疑問が沸々してしまう。とはいえ、生活保護も失業保険もハードルはあるしお金が出るまで時間がかかるから、日々喫緊に困っている人びとを救えないのかも…
とりあえずアニは日本が誇る最先端ロボット技術を駆使した歩行補助ロボを装着してメタモルフォーゼすぺし。

不自由な右足を引き摺り歩き回り、諦念と罪悪感にオドオドするアニより、自閉症の妹のほうが素直というか肝が座ってる?不敵な笑みすら浮かべて、うんざりするような日常をこれからも逞しく生きていくのかな。
松浦祐也さんと和田光沙さん(『菊とギロチン』女相撲でお色気担当だったかた?)の地を這うような体当たりのお仕事に拍手。

障がい虐待貧困暴力売春人糞
これでもか、とクドイ程に心をザワザワさせてくる、けれどこれは決して単なる「社会最底辺の人の可哀想な話」ではない。それでも生きてく、人間の本質をつかもうと全力でぶつかった、問題作。
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