TAMU

岬の兄妹のTAMUのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
4.4
これねー、暴力描写とか性描写で賛否が分かれているのを知ってたので躊躇はしましたが、最終的に恐いもの見たさが勝って行ってきました。

その結果、メチャクチャ刺さりましたー。
スクリーンから発せられる熱量が凄い!

兄弟のもがき苦しむさまは、明らかに間違った選択だが、誠実さが溢れて憎めない。
破滅に向かって進んでいくことを薄々感じながらも、少し光の射した生活を送る二人が愛おしく、あの赤い紙を空にばらまいたシーンは長く記憶に残る美しさ。

エロさグロさはキム・ギドクとパク・チャヌクに鍛えられた私にとっては楽勝の範囲(笑

そんなことより、にわかイ・チャンドン派の私としては、『オアシス』と『ペパキャン』が被りだし、前半から随所で胸が締め付けられて涙がこぼれ、笑いがこぼれ💦

本日は上映後に監督のQAがありましたが、「目指したのは『レインマン』や『ギルバートグレイプ』のような、障害者を題材にしながらも少し突き放した視点で描いた作品」とのこと。(イ・チャンドンはおろか、ポン・ジュノの『母なる証明』も出なかったー、と少し寂しくw)

ところで、本作のある重要なシーンが、大好きな『私の少女』と全く同じシチュエーションでトリハダと確信!(『私の少女』はイ・チャンドンのプロデュース)

監督にこの件聞こうと思ったけど、「何?その映画、知らんし」て言われたら恥ずかしいので聞けませんでした💦

それはそうと本作のキャストの完成度は高く、特に妹まりこを演じた和田光沙さんの演技が圧倒的。
監督と施設へのボランティア参加を通じて学ばせてもらったのだとか。
まりこは事情を理解している、て細かい仕草とセリフに何度も心打たれて涙腺が。。

貧困、暴力、性描写、障害者差別と様々な現代社会で避けられがちなテーマを詰め込んでエンタメに仕立て上げた監督に脱帽。
今年の映画賞を取ってくれることを期待します!
TAMU

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