Pigspearls

おかえり、ブルゴーニュへのPigspearlsのレビュー・感想・評価

おかえり、ブルゴーニュへ(2017年製作の映画)
4.8
あーもうものすごく好きなやつ。
人生をワインと重ねる、って、言葉にすると陳腐になっちゃうけど、四季が移りゆく映像と三人三様の心の変化がしみじみと沁み渡る素晴らしい映画。


ふわふわ覚束なくて、でも頑固で愛おしいヒロインを描かせたら右に出るものはいないクラピシュ。今回はジュリエットの「私には向いてない」に心臓鷲掴み。ジャンは放蕩息子っぷりと長男の責任感の悩ましさと父の顔、、絶妙な演技にほれぼれ。ジェレミーはどれだけ呑んでもワインの銘柄を覚えられない自分にとってはいちばんシンパシーを感じるかわいい末っ子。三兄弟みんな大好き。


なんといっても仏映画およびパリの街を好きになったきっかけが22年前の『猫が行方不明』で、ここ10年はじぶんで買うボトルは自然派ワインと決めているため、ビオディナミのドメーヌをあのクラピシュが!というだけでもう個人的には4点。

で、最近グルメ系の実話ものも色々観てきたけど、やっぱりこれくらい不完全で雑味のある人間のキャラクターと物語を描ける脚本もの、すばらし。ドキュメンタリーとフィクションのいいとこどり。堪能。