QTaka

星を継ぐ者のQTakaのレビュー・感想・評価

星を継ぐ者(2015年製作の映画)
3.5
”魔女””超能力”そして軍事機密。
奇想天外な能力をテーマにしたSF。
抑制の効いた会話など、全編に渡る冷たく硬い雰囲気の統一感に完成度の高さを感じる。
.
吉岡里帆さんを含め、主要キャストの示す雰囲気に統一感が有り、この映画に一定の温度を与えている様に感じた。
それは、”軍事活動”という背景設定でもあり、吉岡さんの演じる少女の生い立ちということもある。
その統一感と共に、物語の中で徐々に明かされて行くそれぞれの立場や関係。
構成としては、バディ物とも言える。
相対立する双方に、男女のバディーが有って、主なシーンはこのバディーで演じられている。
双方の男は、軍人であり、戦闘員である。
戦うことをその生き方としているのだが、その闘いの目的はそれぞれだ。
その事も、物語が進むにつれて見えてくる。
つまり、良くできたシナリオだと思う。
謎を徐々に明かしながら、ここのキャラクターを含めて多くの情報で観客を引き込んで行くのだ。
そして、謎が明かされるにつれ、それぞれが新たな表情を見せてくる。
これは映画ならではの表現であり、技なのだろう。
”説明して、新たに魅せる”その繰り返しで始まる中で、完全に映画に引き込まれている。
.
映像としての表現、特に特撮に派手さは無い。
むしろ、演技やカメラワークで魅せられていったのだと思う。
だからこの映画は”面白い”と言える。
映画として面白いのだと思う。
そして吉岡里帆さん。
彼女にとって初期の作品。
この後、『音タコ』で絶叫することなど想像できない。
でも、そこにその存在をきっちり感じ取れる一本だった。
QTaka

QTaka