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テル・ミー・ライズのkyokoのレビュー・感想・評価

テル・ミー・ライズ(1968年製作の映画)
4.1
公開直後の紛失から50年ぶりに発見された、ピーター・ブルックによるセミ・ドキュメンタリー。
ベースは実際の事件の再現ドラマや証言だが、「ベトナム戦争の正当性」を軸にして、論争がいろいろな方向に波及するのが興味深い。
大衆デモがもたらす恐怖、白人が欲する平和≠有色が欲する解放、共産主義よりも過激な思想の政治家たち、同性愛と宗教。
奇抜な演出で繰り出される歌詞は皮肉たっぷり。
徴兵を逃れるための1001の方法には笑ってしまった。

グレンダ・ジャクソンが言う。

「革命が好き」→実際起こさないけど。
「怒るのが好き」→ただ怒るだけ。
「英国にいるのが好き」→安心安全な場所。
「関わった気になれるから」→ただの自己満足。

英国を日本に変えたら、全部自分のことだった。
当事者ではない気楽さでこの類の映画を観て、そのときはその問題を深刻に考える。
無関心よりは少しはマシなのかもしれないが、でもそれだけだ。

モリソンの焼身自殺を見て、数年前に集団的自衛権行使容認に抗議した男が新宿で焼身自殺を図った事件を思い出した。
その後報道されることがほとんどなかったとは言え、すっかり忘れていたことに愕然とした。
情報が氾濫するこの時代に関心を持ち続けることの難しさを痛感しつつ、せめて意識することだけはやめたくないと思う。って、やっぱりこれも自己満足かなー。
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