けーすけ

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのけーすけのレビュー・感想・評価

4.3
2020/11/30(月) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。

昭和19年、広島市江波で育ったすずは、呉の北條家に嫁いだ。戦況が過酷になる中での、夫の周作やその両親、義姉となる径子やその娘との日々の出来事を描いた物語。





ずっと観たかった本作。『この世界の片隅に』に“(さらにいくつもの)”が入ったものが約40分の映像が追加された長尺バージョンという事で、こちらをチョイスしてみました。
168分あるけれど長さは感じさせず体感では2時間ほど。


中盤までは主人公・すずの幼少の頃から、北條家に嫁いで慣れない主婦業に奮闘するエピソードを中心に、頑張り屋だけどちょっとおっちょこちょいなすずが可愛らしく描かれております。

漫画原作ということでコミカルでクスっと笑える出来事の数々がテンポよく進み、やさしい絵のタッチもあいまって戦争を絡めた内容という事を一瞬忘れそうに。そして要所で流れるコトリンゴの歌が心に染みる事、染みる事、、、。



すずはのんびりした雰囲気だけど、芯もあって頑張り屋さん。とはいえハタチそこそこの女の子で、戦争によって自身や周りに起きる出来事に苦悩する姿には泣かされました。
これは声優を務めたのんちゃんの声と語りの良さが際立っていたかと思います。ほんと素晴らしかった…。

また、日に日に戦禍が激しくなり悲痛な場面もあるけれど、悲惨なまでに重々しくお涙頂戴的には描かれず、すずの持ち前のマイペースさで柔らかく物語が進んでいくのが印象的でした。



すずを主人公に据えた内容ではありながらも、家族やご近所さんに友人など、それぞれの「世界の片隅で」生きる人たちを描いた物語。終戦から75年以上経った世界の片隅に生きる僕だけど、この映画に出会えてよかった~。

追加場面がどこだったのかも気になるので、いずれ通常版も鑑賞してみます。


[2020-176]
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