サマータイムブルース

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

4.3
前作も原作の漫画も未読です
ほとんど前知識なしで鑑賞しました
前作のオリジナル版と加筆長尺版どっち見ようか考えて、長尺版にしました
多分それで正解だったと思います
余韻が尾を引く不思議な映画でした

広島が舞台なので原爆を落とされるまでの人間模様、戦争の悲惨さを伝える内容なのかなと思ったら、それだけではありませんでした

色鉛筆か水彩画のような淡い映像
描画も可愛さを全面に出すような感じでなくて、ちょっとおとなしめな感じ

初めはジブリみたいなファンタジーなのかなと思いました
主人公すずさんが後に嫁入りする旦那の周作さんと初めて出会ったのが、ばけもののカゴの中
座敷童子もどきも出てくる
それは、周作さんが初めて愛した遊郭の女リンさんだったという不思議な設定
でもファンタジー要素はそれくらい
見ているうちに、コレは大人向けのアニメなんだなと思いました

好きなシーンをいくつか・・・

まだ、学生時代のすずさんが裏山でいじめっ子の水原哲と海を見つめている
「波がウサギみたいじゃ」と哲が言って、すずが絵を描くシーン

すずが闇市に砂糖を買いに行った帰り、遊廓に迷い込み、遊女リンさんと出会うところ
2人のやりとりが情緒的で好ましい

そのリンさんが実は夫、周作が本当に結婚したかった相手だと後に知り、後日竹槍持って尋ねるも会えず、代わりにテルさんとやりとりするとこ
彼女も遊女で、熱を出して苦しんでる彼女のために竹槍で雪に南国の絵を描いて喜ばせてあげる

あと、よく分からなかったのが、重巡洋艦、青葉が呉に入港した時に、幼馴染の水原哲が海兵隊員になってすずさんを訪ねてくるとこ
夫周作は2人のために離れの納屋に一晩寝床を作ってあげるのですが、驚きました
ええっ?いいんか!?
結局2人はその夜何も無もなかったんだけど、周作さんはどういうつもりだったんだろう

それから花見ですずとリンが木の上で会話をするシーンで、そのあとリンさんが木から降りた時に周作さんとばったり合います
何が起こるのかドキドキしたけど、その時の挨拶が、やあ、久しぶり、くらいの軽いノリ
今までの2人の経緯を見てきただけに肩透かしを食らいました

あと、最後のワニさんは何だったんだああぁぁ!!

呉の空爆の凄まじさは目を見張るものがあります
日常の中にどんどん戦争が忍び寄ってくることは恐怖を感じます

すずに乗り移ったかのようなのんちゃんの演技が素晴らしかったです
願わくば、のんちゃん主演の実写版が見てみたかったです

また観ます!!