シネマスナイパーF

マガディーラ 勇者転生のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

マガディーラ 勇者転生(2009年製作の映画)
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時間を割いた現世パートが、前世パートよりも弱く感じた
あと悪役の非道性が若干弱い
この全部乗っけのジャンル不明感が本当の正統派インド映画らしさ、なのかもしれないと思いました


絵巻風の重々しいオープニングから、突然、太陽をバックに、主役の役者の名前と一緒に飛び出すバイク
このバイクが最高すぎで、正直その後は暫く尻すぼみ感があった
とは言っても、一発目のミュージカルシーンは見応え抜群で、主役の身体能力が高すぎることが一発で分かるし、その後の運命の出会いも、駆け引きも楽しい
ラブコメだと思って観ると、ちょうどいい温度だと思います

ガソリン車が爆発したあたりから空気変わりますね
近くのものを手に取り盾にして業火を除ける外連味には、待ってましたと言うしかない
そこからの回想は怒涛の勢いで、回想部分は皆さんが期待している通りの出来です


とても楽しかったんですが、ご都合主義がバーフバリより明らかに目立つ
真っ白な平原の中に急に砂の部分が現れて蟻地獄だ〜とか流石に不自然が過ぎるのでは
助けてくれた人が実はあの人だとかは展開として燃えるんですけどね

それから、一発目のミュージカルシーンと地続きの、主人公が親父とダンスバトルをするシーンがあるのですが、これは、主人公役の俳優の実父を出演させている"だけ"らしく、また、そのミュージカルシーンそのものが、親父さんが昔出演した映画の再現にもなっている、100%物語に関係のない、ある種「無駄」なシーンで、こういうのもインド映画の味らしいです


バイクレーサー設定を、もう少し活かして欲しかったかな
前世現世の話にしているからこそ、なんというか、現世パートでのヒロイックな部分をバイクレーサーという職業で出してたら燃えた
現世での相手役も金持ちのプータローにしか見えないので勿体ない
それから、像に跪きながら剣を捧げているキャラクターが、遠景になった途端突っ立っているっていう雑な編集は明らかにダメでしょ

めちゃくちゃ面白くなりそうな設定を活かしきれなかった印象ですが、全体に流れる緩さも、割と心地よくて悪くないかな
主役はハンサムだったし、バイラヴァ、ジャイホー!と叫びたくなることは間違いないです
というか、二つの時制を上手く締めきれなかったこと、そして前世パートは上手くいっていたことを、作り手たちは百も承知だったからこそ、後の傑作に繋がったのでしょう
この頃から既に、同じ舞台やアイテムによって繰り返されるドラマや、アクションシーンでの外連味は確立されているようでしたので、前情報なしでも充分楽しめたと思います

とにかく、今この作品を観賞できることに感謝!ツインさん、完全版の上映に続き本当にありがとうございます!
オープニングと呼応する100人斬りのシーンは必見!
時を越える永遠の愛の勇者を称えよ!