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黙ってピアノを弾いてくれのsicklychicのレビュー・感想・評価

黙ってピアノを弾いてくれ(2018年製作の映画)
3.5
shut up and play the piano、
映画館のお客さんも心の中で何度か唱えたんじゃないだろうか。
軽いデジャヴは「生さだ」。

「例えば自分が他の誰かだったら」
をやってしまった人を初めて見た。
マルコビッチの穴とかそういう問題ではなく、現実にやってしまう破天荒さ。

ウィーンフィルを(苦)笑いさせ、
観客にダイブ。
豆のラップ、オーソドックスなのだろうと思う(詳しくないので雰囲気です)けど、聴くうち次はどんな韻を踏むのだろうと楽しみになる。

冒頭のタイトルに続くエピソードが
ストンと落ちて、じーんとくる。
相反する二つの感情があって
初めて成り立つんだと。

ダフトパンクの素っ気なさも
ファイストの輝きも良かった。

ふざけているように見えて、実はかなり真摯に音楽に向き合うゴンゾさん。

今日たまたま、美しい瞬間には音楽が欠かせないと思ったタイミングで、また面白いアーティストに出会いました。

映画の中で、「軽妙で深い音楽に初めて会った」とゴンザレスさんが言っていたけれど、映画もまさにそんな感じ。
オープニングとエンディングの軽妙さで爽やかにまとまっているけれど、
チリー・ゴンザレス氏の一筋縄ではないバックグラウンドを、引っかかる程度に滲ませる、そんなドキュメンタリーでした。
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