♪ 「到着 5分02秒前」
針は君を指してる
“ミステリ大国”スペインらしい作品でした。
「特定の場所で繰り返される惨劇。共通するものは、ある数字だった。はたして、この数字の向こう側にある真実とは…?」という物語。ビンビンに知的好奇心を刺激してきますよね。
また、物語の後ろで流れる音楽も素晴らしく。
叙情的な雰囲気を煽ってくるのです。
しかも、全てを語らない筆致が想像力を刺激してきますからね。着地点が見えない展開も併せて、背筋がゾクゾクとするタイプの物語でした。
…が、そんな素敵な感覚も中盤まで。
次第に強引な展開が目立ち、張り巡らせた伏線を活かしてくれないのです。しかも、大地にドンと叩き付けられる展開に、正直なところ呆然。この荒々しさがB級映画たる所以なのでしょう。
やはり、数字を取り扱うのならば“根拠”が必要。「ナチスの残党が宇宙人の技術を用いた陰謀だったのだよ!(by MMR)」くらいに強引だとしても、そこに“根拠”を示してくれれば、まだ納得できるのです…たぶん。
そう。重要な部分は“王道”で十分なのですよ。
全てのポイントで観客を裏切ろうとするから無理が生じ、物語全体が軋んでしまうのです。モッタイナイお化けが出るくらいに溜息が止まりませんね。
ただ、その辺りを寛容な気持ちで受け止めれば。胸の奥がキュッと締め付けられる物語に変わると思います。何しろ、物語を構成している“要素”は一級品(イジメ、母子家庭、友情、淡い恋愛、精神病…などなど)ですからね。
まあ、そんなわけで。
サスペンス映画として捉えると微妙。
オカルト映画としても中途半端。
あくまでも根底に流れる“哀しみ”に着目して鑑賞したほうが楽しめると思います。
あと、少年の《お母さん》に目尻を下げるのも正しい楽しみ方ですよね。あんなにセクシーな《お母さん》なんてうらやま…ゲフンゲフン。