新潟の映画野郎らりほう

アノソラノアオの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

アノソラノアオ(2012年製作の映画)
2.0
【停滞】


新潟映画。

「マリと子犬の物語」、「ふみ子の海」、「この空の花」、「おにいちゃんのハナビ」等、近年新潟を題材とし新潟ロケした作品が[御当地映画ブーム]よろしく顕著であるが、そんな中でも本作は 題材や撮影地のみならず 監督及び主要キャストに迄[新潟人である事]に拘った異色作だ。

依って水野久美をはじめとする登場人物達の《本物の新潟弁》、『水はセルフサービスで』を掲げる《杭州飯店》や まるでやる気も覇気も無い『ビデオ1の店員』等 新潟ディティールの数々は相当[真]に迫れている。


内容は'04年新潟福島豪雨で母を亡くした少年の喪失と、それに伴う家族との軋轢を[少年の停滞]にフォーカスし描いてゆく。
この[停滞感]が良くも悪くも映画全編を支配している為、映画は最初から最後迄全く[動く事]が無く 少年は114分間グダグダとはっきりしない。 -その顕現としてキャメラは終始フィックス(固定)だ- このひたすら地味で動かない内容が本当にキツイυ

ラストで漸く[前に進む少年]の事を やっと[移動撮影するキャメラ]が顕現し ある程度のカタルシスが得られるものの、その手法も安易的。

新潟産への拘り過ぎも 作品の他地域波及を阻害している。




《劇場観賞》