目撃者(2019)
社会心理学における一研究の果てに証明された
"傍観者効果"(60年代のアメリカで起きたキティ・ジェノヴィーズ事件)
それをトレースした社会派サスペンス映画
ちなみに
この『目撃者(2019)』は韓国国内で大ヒットして韓国映画振興委員会の統計では公開4日目にして100万人を突破してる(最終的には200万人を超えたそうだが・・)
わたしが大絶賛した『工作 黒金星(ブラックヴィーナス)と呼ばれた男(2019)』は動員数で2位という結果だったけど のちに400万人を超えている
深夜犯人を目撃した(マンション購入で銀行からの借金に疲れ切っているような)サラリーマン:サンフンがベランダから殺人事件を目撃してその証言に躊躇してる間に次々と殺人事件が起こる映画
実際の所 殺人事件はサラリーマン:サンフンだけじゃなく他の住民も事件を目撃していた
「マンション住民達は事件によって自分達が住むマンションの資産価値を落とさないように結託して警察へは協力しない」
という流れになる
まず展開的にこの部分に入り込めない
「通常ならどこに殺人犯がいるかも分からない」・「明日もしかしたら自分が殺されるかもしれない」現状の中
犯人逮捕に協力する前にマンション資産価値を優先してる時点で
命<お金
という構図になってる
マンション住民の冷静沈着なこの考えはまず現実的には事件発生直後としては違和感しかない
それに加えて主人公サラリーマン:サンフンの挙動不審が目立ちすぎる
道で警察に何度か任意で尋問を受けるけれど一向に犯人については話さないし隠し通す
それにより自身が犯人に追い詰められるような妄想シーンが度々差し込まれる
一方で
自宅ではネットの匿名掲示板へ犯人について書き込みをしようと思ったり
マンション住民の考えた警察に協力しないことへの書類へ署名しなかったり
主人公の揺れ動く気持ちに全く感情移入できない
何故なら葛藤の原因は全て自分にあるから
モタモタ・グズグズしてる状況によって自分の家族やマンション住民を次々と危険に晒していく
どんどん死人が出る中でも一向に警察へ連絡しない
無言電話から犯人が主人公と家族にジワジワ近づいて恐怖感を煽る演出が先のグダってる状況によって全くハマっていかず逆に興醒めしていく
ハラハラ?ドキドキ?
そんな感情は全く生まれず偶然の重なりを勝手に繋ぎ合わせた結果でストーリーは淡々と続いていく
最後にようやく観念して主人公が警察に話したのち 警察は犯人逮捕に向かうも待ち構えていた部屋で爆破を起こされ警察は返り討ちにあう
「何のために拳銃握ってるのさ・・・」
と素人みたいな警察のおかげで更に興醒め
主人公サンフンは警察にやっとの思いを話したのに犯人に返り討ちにあったため逆ギレする始末
ストーリー展開がとにかくグダリすぎ・・
辻妻が合わなすぎる・・・
ハイレベルな作品を生み出し続ける韓国映画の中で「こんな作品もあるのか…」とビックリするくらいホントに残念
ハッキリ言ってこれを面白いとは思えない
この映画のラスト
冒頭に述べた "傍観者効果" をサンフン自身が再現するシーンがある
住民は各々・バラバラで意思疎通がなく
事件前・後となんら変わってない様子を見せてくれてエンドする
『パラサイト』や『工作』『バーニング』を観たあとにコレを観たら卒倒する低レベル
初日だの週末だの観客動員数のみではアテにならないということを改めて考えてしまう
想像するにこの『目撃者(2019)』は韓国のリアリズムを追求した作品なのかもしれないけど
「これが今の韓国のリアルなんですよ」っていうならハッキリ言って施しようがないレベルになってしまう
人数が増えれば増えるほど他人への無関心が発生しやすくなるという "傍観者効果"の実証という映画ならばそれはそれだけど