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夜明けまで離さないのkinacoのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けまで離さない(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

Rが18なシーンに身構えつつ観始めたんだけど、そこに至るまでが思ってたよりめちゃくちゃプラトニックな純愛でめちゃくちゃ良かった。
手も繋いでないのに警官の目を誤魔化すためにとっさに抱き合うシーンとかソフトクリーム食べるの下手くそな所とか不格好な玉子焼きとかお前のママなんて知らねぇよとか電話でも話さへんの?とか、とか…(しんどい)

YouTubeで公開してくれてるメイキングを見たら、元々少ない台詞をさらに削ったらしく、それが気持ち良く浸らせてくれる感じになっていて良かった。
あと「いい匂いのする男」石岡にぴったりの香りを探し当てた毎熊さんの仕事ぶり…(一体どんな香りなのか見てる間も気になってたし、メイキングを見たら余計に気になって仕方がない)

何がどうして石岡がそういう男になってしまったのか多くは語られないんだけど、指の骨を一本ずつ折る時の狂気を孕んだ冷酷な目と心を寄せる相手に突然抱きしめられた時の戸惑いと安堵の間で揺らぐ幼い目をどちらも石岡なんだなぁと思わせて成立させてしまっている毎熊克哉はズルい男だなぁと思った。
初めて心に触れるその時に、差し込んだ陽の光で淡い茶色に透ける右目の美しさがずっと忘れられない。

食に対する姿勢で透けて見える育ちの良さ。あんな朝ご飯を作ってくれる男が愛されずに育った訳がないと思ってしまう。思ってしまうけれどその後に覗き見てしまう彼の狂気。「情けないな、お前も俺も」言い聞かすように吐いた台詞の跳ね返り方。奪ったように奪われる。初めて向けた笑顔のままで。
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