ゑぎ

Stranger on Horseback(原題)のゑぎのレビュー・感想・評価

Stranger on Horseback(原題)(1955年製作の映画)
4.0
 ジャック・ターナーの日本未公開西部劇。主人公の判事・ジョエル・マクリーは荒野の向こうから乗馬し法律書を読みながら登場する。ファーストカットから普通の西部劇ではない。町に到着する前に、町はずれの墓地で行われている葬儀の横を通過するのだが、この部分も異様なルックだ。町の保安官・エミール・メイヤーは猫を飼っていて、保安官事務所のシーンには必ず猫が登場する。町を牛耳る実力者の敵役はジョン・マッキンタイアでその息子・ケビン・マッカーシーが『リオ・ブラボー』のジョン・ラッセルのような役まわり。Colonelと呼ばれ、マクリー側にもマッキンタイア側にも顔を出す男をジョン・キャラダインが飄々と演じる。そして、主人公・マクリーと恋に落ちるのは敵役・マッキンタイアの姪、『アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生』のミロスラヴァだ。彼女の扱いも、その登場シーン(射撃の練習をしている)から、かなり奇異な演出なのだ。後半は岩山の西部劇でもあり、ラストは平原での銃撃戦にいたるのだが、随分とあっさり目の展開。アンスコカラーの褪色具合も手伝って尋常ではない景色が定着する。まるで普通の西部劇ではない。しかし、全編に亘って端正な演出で緊張は途切れない。さすがにターナー、こんな小品(66分)だが、見ごたえは十分だ。
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