映画大好きそーやさん

ジュニアの映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

ジュニア(2011年製作の映画)
3.8
『RAW〜少女のめざめ〜』や『TITANE/チタン』で一躍名を売った、ジュリア・デュクルノーによる短編映画!
私は出世作となった2作はまだ観られておりませんが、手を出しやすいこちらから鑑賞していくことにしました。
端的に言うと、本当にいい意味で気持ちの悪い作品でした。
人間は成長することで、どんどん内側も外側も大人の肉体へと近づいていきます。
子どもの頃は早く大人になりたいと憧れていたかもしれません。
でも、思春期に突入し、身体に変化が表れ始めると、途端に大人に近づくことへの恐怖が芽生えてきた人もいたのではないでしょうか?
自分が未知の存在へと、自分の意思など関係なく変わっていってしまう。
そんな肉体変容に対する恐怖をボディーホラーというジャンルを用いて、最高に気持ち悪く描いているのが本作の最大の特徴です。
普通に学校生活を楽しむ主人公の身に、突如成長の兆しが見え始め、これまでの自分ではなくなっていく感覚と現実が襲ってくるのです。
その様を鑑賞する私たちも当然居心地が悪く、言うまでもない恐怖に駆られることになります。
どうしてここまで生々しく、ぶっ飛んでいながらも、しっかりと「わかる」表現ができるのだろうかと、ジュリア・デュクルノーの突出した作家性、発想力、演出力に脱帽させられる21分間を体験することができます。
こんなにおどろおどろしい文字を並べたにも関わらず、オチにどこか爽快感というか、喜びや嬉しさといったポジティブな感情を覚えることができるのは、どんな緩急を成立させてるんだ!と胸ぐらを掴んで褒め称えたくなること請け合いです。
未見の方は、ぜひその目でお確かめ下さい!