OscarGroove

mid90s ミッドナインティーズのOscarGrooveのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

我々の世代はさあ、と限定せずとも多くのひとが思い当たるのでは。わたしにとっては心当たりを映像化したような作品だったな。

少年が大人になるために取った手段が、異文化とスケボーでカッコつけること。これが世界の全てで、分からないなりに慣れていき、危険なことにも手を出していく。

この少年、スティービーの危うさは兄からの虐待から来てたりするんだけど、家庭の外に解放を求めるのはごく当たり前なことだと思った。ちょっと悪い仲間ができて、その中で認められて。こういうのは思春期の男の子にとっては麻薬的に嬉しかったりする。スティービー少年は幼さゆえになにが起きてるかは理解できないまま、コミュニティの中で役割を持ち、外に存在証明をしていくようになる。

で、話してみると仲間も案外似たような環境やスネ傷があったりして、さらに友情を深めていく。というか遊び方はともかく、友達のつくり方としてはめちゃくちゃストレートだなと思う。

初めてタバコを吸った、お酒を飲んだ、入っちゃいけないところで遊んだり、女の子と遊んでみたり、これらが社会勉強だったり成長の過程ではあるにしても、家では出来ないことを全部やるってのは家庭の抑圧から来てるよなと。大なり小なり、誰しも心当たりがあるんじゃないのかなと。わたしはそういうところで、ほんと、自分だけじゃなかったんだな〜と感動して泣けました。

ラスト。人間は痛い目をみないと変われないというのも共感した点で、わたしも結構な大怪我をきっかけにそれまでを振り返ったことがあったので、ひたすら苦い気持ちが頭の中を走りっぱなしでした。

もっと若いときに観たかったな、でも理解しようとしたかな、と。真っ直ぐそんな気持ちにさせる作品は初めてで、おもしろかった。

作品のmid90sという時代の演出がまたストライクで、デカロゴデカ服のショップだとか、THE SOURSEとか、ATCQとかPharcydeとか、魚眼レンズとか!もう勘弁してくれよ〜ってくらい全部でしたね。内容的には普遍的なテーマを取り扱ってたけど、逆に言えばこれら「だけ」はこの世代のものだったような気がします。
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