このレビューはネタバレを含みます
A24って先鋭的なものばっかりという偏見でしたが、とってもまっすぐなストーリーでした。事故った仲間を病院で夜通し待ちくだびれるワルい友達!うーん王道ですね。
暴力的な兄と、若すぎて頼りない母親との鬱屈した暮らしを抜け出したいスティーヴィーはスケボーショップで出会った悪友お兄さんたちと絆を深めていく。
兎にも角にもスティヴィーがかわいすぎる。レイに水汲んでこい!って言われたときに「仲間に入れてもらえた!」みたいな感じでくしゃーって笑う。ここで完全に撃ち抜かれました。スラングも交えた不謹慎ジョーク、内容がわかんなくても混ざれた嬉しさでくしゃー。初体験の感想が「またやってみたい!」ってどんだけよ、、キュン倒れするかと思った。
となると単純な私は、クズ兄め!ってなっちゃいます。ところが、スケボー仲間にビビり散らかして「お前が生まれる前、母ちゃんはワルだったんだぜ」という謎マウントをとるあたりでおや?こいつもかわいいのか?ってなりラストの病室あたりでは、なんなら兄ちゃんの方が心配になってきました。友達がいなそうなんだもん。でも暴力はダメだよ。
スケーター4人もしっかりキャラ立ちし、レイがしっかり者であるところが物語の深みを増してますよね。ルーベンの気持ちも痛いほどわかる。ファックシットはしっかり反省しようね。
ラストはほろ苦ムードをフォースグレードの映画で吹き飛ばす。スティーヴィーは事故の後遺症つらいだろうけど仲間と一緒に頑張ろう。90分に満たない時間でここまでキャラに愛着を持たせてくれて、なんだかありがとうと思う作品です。
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今作でもキーアイテムとなるスケートビデオ。そこに撮れてしまった、あまりにリアルでつらすぎるスケーターの若者たちのこれまでを描いたドキュメンタリーが『行き止まりの世界に生まれて』。今作とたまたま同時期の作品ですが描くアプローチは真逆です。あまりにもつらい現状に目を向けること、フィクションであっても明るい気持ちになること、同じくらい大切だなと両作を比較して思います。