令和の時代に、16mmフィルム撮影の新作映画が見られると思わなかった。
脚本も映像も呼吸をするように美しい。
明るいシーンと暗いシーンが息を吸って吐くように繰り返され、良質なリズムになっている。
ほとんどが固定カメラで撮られ、構図もバスバス決まっている。
スケボしながら、道路を駆け抜ける縦の構図が気持ちいい。
出てくる人物に、ほとんど嘘がない。瞳で語り、行動には必ず芯がひとつ通っている。
日本で高校生の青春映画を撮ろうとすれば、学校生活や部活生活が中心になるが、こうしたアウトサイダーを主題にすえられる環境が羨ましい。
恵まれている環境にいる白人が現状に甘んじ、スラム出身の黒人が更なる高みを目指していくのが象徴的だった。
90年代の状況がそのまま、白人貧困層の問題につながっていることを暗示しているようである。
憧れと現実は結びつかないことを示しつつ、90年代カルチャーにどっぷりつかれて良い時間を過ごせた。