Daisuke

mid90s ミッドナインティーズのDaisukeのレビュー・感想・評価

4.8
[VHSの中で]

私の青春はスケートボードだった。
まさに90年代、公園に集まってはスケートをし、ビデオを回して、飛んで、回して、飛んで。そんな毎日を過ごしてた。

ダボっとしたパンツにTシャツを重ね着し、キャップを少し斜めに被る。
足元はDCシューズが台頭しつつあったあの頃だ。

チャド・マスカ
トム・ペニー
マイク・バレリー

海の向こうのクールなスケーター達を、411VMやトランスワールドというスケートビデオの中で知り、真似をしてた。

学校や家の事など知ったこっちゃない。
一枚の板で飛び跳ねれば、その瞬間は無敵なのだから。

だからなのか、
主人公の少年が板を持ち出し、今まで知らなかった世界へ飛び出していく様を見ていて、すでに涙が止まらなかった。
少年にとって、あの場所だけが「生」を感じる瞬間なのだ。

同い年の連中が子供っぽく感じた彼は、自分が思う「カッコイイ」をスケート共に疾走していく。そして、、、

「早すぎた」「背伸びしすぎ」「スケボーじゃなければ」と、そういった感想を抱く方も多く見かけるが、そんな意見を見るたび、すまないが、「うるせーよ」って思ってしまう。

自分が思う「カッコイイ」を始めるのに
年齢やジャンルなんて関係ない。
それがわからなければ、おそらくこの映画の価値は一生理解できないだろう。

少年は何度も何度も「落ちる」さらには大変な事になってしまう。
けれど、最後の最後、少年の表情をよく見てほしい。あの表情だ。あれなんだよ。あれが、すべてなんだ。
紛れもなく、少年のすべて。

誰にも触れることのできない

圧倒的な生の輝き

それは、VHSの中で

永遠に放たれるのだ
Daisuke

Daisuke