せいか

劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- Wandering; Agateramのせいかのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

1/1、ウェブ上でABEMAで公開されたものを視聴。
坂本真綾のテーマソングで満足感を得るしかない劇場版。この曲はほんとに何度聴いてもいいものである。

本作はスマホゲームフェイト・グランドオーダーの第一部第六章を前後編の劇場アニメにしたもので、ゲームのほうはリアルタイムでプレイしていた。FGOのシナリオは本編含めて個人的には好かない傾向が高い中でこのキャメロットの章は本当に本当に本当に珍しく「好き」に位置するシナリオなのだが、この劇場版はなんとなく噂で聞きかじっていた通りよろしくないものだった。
話の中身が大幅に走ったものにされているのがひたすら悪目立ちしていて、元シナリオを読んでいるいないに関係なく、ただなんかよくわかんないまま話が展開しているものになっていると思う。元を読んだFateファン向けのサービスムービーみたいなもんだとは思っているので視聴者はシナリオを把握しているものという前提にしたところで、そうやってぶっ飛ばしてる代わりのプラスアルファがあるわけではないからつまり誰向けのものやねんになっているに尽きる。

元シナリオがめちゃくちゃ骨太でしっかりしていたとは(珍しく好きシナリオであるとは言っていても)とても言えないが、それにしたって本映画はひたすら元シナリオを読んでいてあった読者の心の動きをひたすら摘むものであった。根は摘まんとってことで、本作のアーサー王の模倣か???
主人公の周辺のやり取りにしろ、敵対する者たちの言動にしろ、それを観ていてマジで何も思わんけど、映像の中では勝手に盛り上がっているけどひどく中身が軽いみたいな。ダ・ヴィンチの脱落シーンにしろラストのアーラシュの脱落にしろ、死んでいく一般人や騎士たちにしろ、トリスタンとの戦いにしろ、門衛のガヴェインの静かな怒りにしろ、マジでわざわざ映像化までしておいて何にもない。ただ映像としてあるだけで引っかかるものがない。びっくりした。ひとえに話の構成とかが悪いのだと思われる。
そもそも映画でまとめるのが無理があるシナリオの長さなのでどうしたって切り落とされるものはあるにしても、芯の置き場を見誤った結果、全体にとっ散らかった薄味のものになったのだと思う。
元シナリオの冒頭にあったトリスタンの虐殺光景のあの絶望感と恐怖をカットしたのとか本当解せないとか、とかく解せないの連続である。

あと、ゲームにしても主人公への好感度が私はマイナスに振り切ってるのだけども、本作はそこがひたすらグジグジほじられる最悪のプラスアルファがされていたとも思う(特に現地の少年との交流について)。
ゲームのほうも大概そういうところがあるのだけれど、その地の一般人をシナリオに絡めたがる割に致命的に人間というものを描くのを放棄している、結果、上っ面の説教臭さを振りまきつつキャラゲーの域を出ないものになっていて、この劇場版も本来ならば表現方法が変わることでそういうところを改善できるメディア展開になれるはずなのだけれど、ゲームと同じ轍を踏むに留まっている(どころか総合的にマイナス評価に留まっている)。

TVシリーズでは第七章のウルクのをやっていたけれど、あれも結局似たような感想を持っていたので、もしかしたらそもそも(少なくとも映像化の)メディア展開に耐える強度がシナリオにないのか、毎回なぜか致命的に構成や芯が終わる方向に舵切りしてるのか、私には分からん。
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