せいか

劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- Paladin; Agateramのせいかのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

1/1、ウェブ上でABEMAで公開されたものを視聴。

概ね感想は前編と変わらない。相変わらずぶっ飛ばしつつFGOの駄目なところが悪目立ちするような構成になりつつ、人間を描きたがるくせにむしろそれを無視している(一般人にしろ、サーヴァントにしろ、何にしろ)。マジで話がなんか進んでいくなあみたいな、とかく引っかかりがない長編アニメ映画を観るみたいなことになる。キャラクターが動いて喋ってるところに旨味を感じるしかないし、後半も相変わらずキャラクターたちの言動やその内面に一切寄り添う隙を与えていない。芯がないなら仕方あるまい。
ただ、個人的にはああいうやり方も好かないけれど、ゲーム本編公開後に奈須きのこが自分のサイト上で公開した本編の補完情報(というにはでかすぎる前日譚で本編でやれやというもの)を映像化にあたってここに取り込んだのはプラスアルファの要素なのだと思われる。
前編もそうだけど、アニメーションと声の演技とか、いろんなスタッフたちがすごくいい表現を見せてくださってるとは思いますというか、それらでかろうじて作品として形が保てている。前編より後半のほうがまだ遥かにファンのためのムービーにはなっていたのでマシとも言える。

後半はランスロットが仲間になるところから始まるのだけれど、ここのマシュとのやり取りとかゲームの方でもひたすら好まれてるけれど、元ネタに造詣があると観てて(読んでて)すごく腸が煮えくり返ってくる(というかグロテスクな)のだよなあと改めてしみじみして眺めていた。FGOというもの、知識があればあるだけ勝手に地獄が見れるゲームなので……。

このキャメロット編はエルサレムの地を舞台に、十字軍、アーサー王伝説、砂漠、オジマンディアスを始めとするエジプト、三蔵法師、旅、さまよえる騎士、人間を選ぶこと、太陽、終末、罪、罰、善と悪(良いと悪い)、救済、神、宗教等々を絡めたものでその舞台装置がすごく面白いのだけれど、そこもなんかまあ前編から繰り返す通りの感想なのでそこに注目された構成であるわけもない。
ここにおいてかつて聖書の上で否定された奥であると考えられるオジマンディアスが世界によって喚び出されたことと彼の選択の全てに持たせることができる重さもとにかく軽い。
また、この上でアーサー王に餞を与えなかったベディヴィエールという特異さが本作では肝で、彼とアーサー王の果てしのない旅路が何に重なっているのかとかも作品上でライトなところをやはり漂わせているだけで、マジでプラスアルファがない。感想書くのもつらい。
もしかしてそもそもゲームシナリオからして、大抵いつも他のシナリオで思わされているように、こちらが感動したほどのものはなかったのではないか?とか思ってしまう。うががががが

この映画に何か「これがやりたい」があるとして終盤15分に特にあると言えるのだろうけれど、そのためにこの映画を観ようとは勧めたくないというか。なんだろうな……やっぱり芯がないとしか私の語彙では表現できないのかもしれない。
せいか

せいか