半兵衛

北海の叛乱の半兵衛のレビュー・感想・評価

北海の叛乱(1956年製作の映画)
2.0
鯨を漁で捕っていた時代の貴重な記録映像ではあるが、肝心のドラマが地味すぎて今一つ弾けず。でも捕鯨会社での資本家と労働者の間に割り込み労働者を焚き付ける共産国のスパイになった男が巻き起こすトンデモ騒動は当時右翼が共産主義をどう思っていたのかが伺えて興味深いし、そんな奴に悪役のイメージが強い二本柳寛を配役するあたりに左翼が嫌いなため労働組合が強くなった戦後の東宝から同士を募って離脱してこの映画を製作した新東宝を設立した渡辺邦男監督の心意気が伝わる。

本作のヒロインである久保菜穂子が主題歌を歌っているが、あまり活躍もせず出番も多くないのになぜ彼女が?と思ってしまったが、どうやら本作は当時共産圏を敵と認識していた某国の情報機関が資金を提供して製作されたという噂があり、その影響で当初のメインであった上原謙と久保によるメロドラマが大幅に減らされた模様。道理で共産主義を必要以上に悪く描いていたわけだ。

それにしても大作ではなくこんな作品をカラーにして製作するのが新東宝らしいっちゃ、らしい。
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