中身はなんてことないよくある主人公の転校生が学校で騒動を巻き起こすドラマだけれど、井上梅次監督の手にかかれば何だかリズミカルで楽しい学園ドラマに。そして主役が歌える雪村いづみだけにミュージカルシーンもちゃんと用意されており、しかも宝塚で活躍した先生役の南風洋子の後年の地味な演技派というイメージからは想像できない宝塚時代を彷彿とさせる凛々しい男役を堪能できて満足。
雪村の母親役に水ノ江滝子、厳格な理事長に沢村貞子、東大出身なのに冴えなくてバカにされる先生役の千秋実など周囲の役者陣の顔ぶれも豪華で楽しい。ただ女子生徒から憧れられるイケメン男性教師役に中山昭二という配役があまり合ってなくて演技も朴訥なためあまり目立たないのが気になるけれど、こういう主演がボンクラというパターンはいかにも新東宝らしいのかも(ダンスは上手いけれど)。
ナベプロの創業者である渡辺晋や俳優に転向する前のクラタ隊長南廣などとんでもなく豪勢な面子が参加するラストの演奏シーンも見所。
ちなみに久保菜穂子はワンシーンしか出ないので油断していると見落としがちなのに注意。
