ドリームさん

オーヴァーロードのドリームさんのネタバレレビュー・内容・結末

オーヴァーロード(2018年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

戦争とホラーとSFの融合。
惹かれないわけがない。

戦争で埋もれた真実の中には常識を超えたものがあった。
コンセプトとしては目新しいものではない。
成功例が少ないだけで似た作品はある。
ただ今作はJJエイブラムスの名が銘打ってある。
名前貸しのパターンもあるが、淡い期待を抱き鑑賞。

だが、これが間違いだった。

ロジックツリーを考えてみる。
第二次世界大戦下。
米軍の一兵卒である主人公。
敵地に乗り込み、ドイツ軍と戦う。
だが、任務の目的地が怪物兵器の製造工場だった。
怪物兵器と化したナチスドイツ軍を撃破する。

主旨は第二次世界大戦ではない。
戦争ではなく、人外となった怪物と戦うSFである。
果たしてナチスである必要性はどこにあるのか。
強制収容所で行われた人体実験と紐付ける為だろうか。

で、あるならば。
設定だけでは説得力が足りない。
戦争下でなければならないプロットにする必要がある。
だが、今作の物語にはそれが感じられない。

言い換えると。
今作はナチスドイツじゃなくても成立する。
それらしく見せているが戦争物じゃなくても成立する。

例えば。
主人公が引っ越してきた町に大規模な製薬会社があった。
製薬会社は秘密裏に町の人に人体実験を行っていた。
その人体実験により人は怪物と化していた。
それに気付いた主人公は製薬会社を潰す為に奔走する。

こんなドタバタコメディのような話でも成立してしまう。
つまり、この物語において戦時下である必然性が無い。
必然性が無ければ説得力が無い。
加えて、主要人物たちのノリが軽過ぎる。
言動がとても敵地戦場が舞台だとは到底思えない。
先述した例が浮かんだのはこの要因が大きい。
演出や個々の演技で多少なりとも変わっただろうか。

結果は単純にこうなる。
常識では考えられない怪物が現れました。
主人公が戦って倒しました。

そんな映画はこれまで目が腐るほど観てきた。
何の目新しさも無い。
設定だけ斬新さを持たせたハリボテ映画と言わざるを得ない。

ナチスに限らず、歴史戦争を題材に扱う作品全てに言いたい。
その戦争で亡くなった人。
被害に遭った人。
そういった人々に敬意を持って作って欲しい。
題材として取り上げるなとは言わない。
もし物語の主旨として必要でないのなら。
それは題材として取り上げるべきではない。
単なる賑やかしとして戦争を扱わないで欲しい。
観る側も覚悟を以って観ているのだから。

今作を鑑賞しての収穫を強いて挙げるなら。
今後、エイブラムスの名前があったら。
抱くのは淡い期待ではなく一抹の不安だろう。


基準点:3
題材と物語が合食禁:-1
ノリが軽過ぎる:-1
マティルド・オリヴィエきれい:+0.5
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