おでい

太陽は動かないのおでいのネタバレレビュー・内容・結末

太陽は動かない(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「24時間ごとに命の危機が迫るノンストップサスペンス」なんてキャッチコピーを出されたら、息つく間もないだろうし、危機迫るアクションサスペンス映画に思えるしってかまえて見たら、むしろ息つくシーンが多くて、サスペンス要素も中途半端な感じで、なんなら24時間ごとに命の危機迫るシーンはむしろ冒頭の10分である意味消化しきってしまい、その後はヤバイヤバイどうするのってドキドキ感も味わうことも無いままに進行するのはどうだろうかと思った。

映画の中身としては既視感のある感じで、アクションシーンはボーン・アイデンティティーのシリーズ、諜報活動はミッションインポッシブルのまんま。

ロケも海外行ってお金使っても大きいことやっていてスケールは大きいし、日本人がハリウッドに対抗みたいな勢いは感じられるんだけれど、とにかく、こんな感じにこういう風にしたいっていう見え見えのシーンばかりで、一つ一つのシーンの重みが感じられず残念。

また、映画的ではあるんだけど、例えば足をやたらと出す女性はしつこすぎるし、なんなら出さなくていいし、騙してシャンパンに薬物入れるのとか思いっきり泡立ちすぎてて違和感しかないし、家事で落下する木材はわざとらしく重さを感じられないしって、心でツッコミ入れまくり。

この映画、例えば顔が覚えられないとか名前を覚えられないってタイプの人には致命的に意味わからない映画で、ちょうど自分がそのタイプだったがために、最後の最後まで少年のシーンと大人のシーンは別人だと思っていたし、過去と未来を描いているのか、おなじ時間軸をザッピングしているかさえ意味不明なままアワアワと鑑賞してました。
だいたいこの少年時代のシーンはクドすぎるし、そもそもストーリーが複雑な現代シーンに挟まってちょくちょく登場するため、完全にストーリーを追えなくなる原因になっている。
そして例のノンストップサスペンスってキャッチコピーを真正面から矛盾させるというストップする役割になってしまっている。
この、過去をしっかり描きすぎてテンポを狂わせるのは昔から日本映画の悪いところだと思う。
ハリウッド作品だと、断片的にピースだけを見せておいて、最後の伏線回収でピースを完成させるように見せたりする演出が多いので、そこはそろそろ見習うべきだと思う。

この作品の中で一番気になったのが、組織の規模。
あれだけハイテクな感じで国も絡んでの組織な割には関わる人数は数人。
それなのにハイテクな監視映像とか解析映像のモニターとか出てくるもんだから、リアリティにかけるなと思ってしまった。

こういう部分はボーンのシリーズもミッションインポッシブルも惜しみなく描いているので、やっぱりリアリティと没入感を感じられる作品になっています。

この作品スケールはでかいし派手なので、とにかく場面構成の組み立てさえ上手に出来ていればそんなに気にならない映画だったと思うし、結局、少年時代の女の子もそんなに効果的でもセンセーションでもないし、無駄なシーンとキャスティングだなって感じたのは正直なところ。

再編集版みたいなのが出たら改めて見たいなって思える映画です。