馮美梅

ザ・ポスタリスト ~伝説の絵師~の馮美梅のレビュー・感想・評価

4.5
香港映画を好きな人には絶対見たことがあるはず。1970年代から90年代の香港映画のポスターのイラストを手がけたユエン・タイユンに対してのドキュメント。

彼はどんな人物だったのか。
全盛期、謎の人物だったユエンに対して、ケニー・ビーや香港のクリエイターたちのインタビュー、そして、ユエン本人と対面してインタビュー。

最近手がけた作品など見せてくれてますが、やっぱどれも素敵。気難しい人なのかと思いきや、とても気さくで、制作者の無理なお願いも嫌な顔もせず、応じてくれる。

とても精力的にいろんなイベントに参加する。

各章に分けて物語が進んでいきます。一章はユエンとはどういう人物なのか?二章は実際今の彼の様子。そして三章は彼の歴史と懐かしい人達との再会。

サムホイの息子と対面、特に思い入れが深いサム兄弟との関わり、そこから香港映画のポスターを手がけるきっかけになったこと。そして、マイケルと再会。

四章は現在と過去。絵を描くのにはいろんなツールが出来た。いくら上手に絵を描けても、ユエンのように一枚の映画ポスターの中に想像力を働かせ命を注ぐような作品は作れない今の若いクリエイターたち。「私たちには想像力がない」と。

ある人に「絵を描くことは好きじゃない。生活のために描いてる」と言っていた時もあったようだが、本当は自分が好きだと思う人だけ描いていたいんだと。

上海から香港にやってた青年が、不思議な縁で香港映画のポスターを描き全盛期の香港映画を支えた。一時期香港を離れ生活していたが奥さんの死後、再び香港に戻って、仕事ではなく、自分が描きたい絵を描き、いきたい場所のイベントに足を運ぶ。

以前のような画風は描けないと言いながらも、彼の描く人物に対する愛情が素晴らしい作品となって息づいてあるのではないどろうか。問題は彼のような作品を継承して行ける人たちがいるのか。

尖沙咀にある李小龍の彫刻の監修をしたのがユエンだそうです。

知らずに見慣れていたポスターを描いた人、ユエン・タイユン。

エンドロールにマイケルはなぜかジョンレノンの絵とのツーショット、でも次に笑顔のサムがトートバッグにユエンが描いたサムのイラストとのツーショット写真にジーンときてしまった。
馮美梅

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