しんご

あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIEのしんごのレビュー・感想・評価

3.3
主演の舘ひろし曰く「あぶない刑事」が一貫して持つ世界観は「悲壮感の否定」だそう。深刻な出来事があってもそれにリアリティを持たさずにギャグで笑ってしまうという乾いたスタンスは、あぶ刑事の「産みの親」とも言える故長谷部安春監督が提示した新たな刑事ドラマの型に他ならない。

複雑な組織構造も取調室でカツ丼を出す人情捜査もないアクションメインの本シリーズは展開的にはいわゆる「水戸黄門」のようで、爽快なマンネリズムがある。

前作「リターンズ」(96)はそのマンネリズムを継承しつつも余りに荒唐無稽な展開に閉口したが、その2年後に「金曜ロードショー」で放映された本作の前編たる「スペシャル」は本当に素晴らしかった。「またまたあぶない刑事」(88)でメガホンを取った一倉治雄が再登板した世界観はケレン味を残しつつも、90年代後半のテイストをあぶ刑事の世界観に見事に調和させた名作だった。
 
これは後編の本作も期待出来る!...と思ったのも空振りで劇場版ではまたまた荒唐無稽な展開が目立つ作風となってしまったのが残念だった。タンカーが横浜に接近する展開は前年公開の「スピード2」(97)にかなり影響を受けてそうだけど、如何せん映像効果もショボくて感情が全く高ぶらなかった。

肝心の人間ドラマも劇場版ならではのゲストに焦点を当てすぎたせいか、タカとユージの会話の面白さやハードボイルドさがかなり抑えられてたような感じがする。

まぁファンだから観ちゃうけどね。
しんご

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