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ごっこのmasayaのレビュー・感想・評価

ごっこ(2017年製作の映画)
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ポスター写真に油断していると腰を抜かすようなハードボイルドだった。シャッター通り商店街のレオンとマチルダ。全ての登場人物が狂気を内包していて、それぞれが思い描く情愛をなぞる時、それは隠し切れない牙を剥く。誰もが纏う狂気の形を登場人物に託して、丹念に浮き彫りにする。

愛といっても形のないものは誰にも証明出来るものではないから、それぞれが思う形をなぞって、それを最後まで演じきったらそれはもう愛なんだろう。愛とは愛する人というジョブを演じるロールプレイだ。「ごっこ」だ。

ヨヨ子ちゃんの役どころ難しいのに凄味さえあった。「5歳にして大人」を余儀無くされた人生がそこにあった。千原ジュニアは半死の無表情と鬼の憤怒相の2パターンで画面を完全に説得させていたのが見事。

子が親を指名して親と名付ける(子が親を選ぶ)倒錯が考えれば考えるほどヤバイ気がしてきた。ヤバイ。
パパやん命名の瞬間にヨヨ子は城宮の狂気を狂気で上回ることで封印し、父親に任命してお互いの人生を方向づけた。ヨヨ子は5歳児のかたちをした神様かも知れないな。

「大声でまくし立てると他県の人には聞き取れない」という関西弁あるあるがこの映画の中にも何回もあって、言葉の塊を投げあってる感じが面白かった。勢いで伝わるふしぎ。
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