LalaーMukuーMerry

ナイチンゲールのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
4.7
クリミア戦争(1853-56、ロシアvsトルコ・英・仏)で活躍した看護婦ナイチンゲールを描いた歴史ドラマ・・・と、かってに信じ込んでいたけど、全然違った(オーストラリア映画なんだから、違うともっと早く気づけよ、自分!)。 

でも見てよかった。タスマニア島が舞台、時代は19世紀前半頃(クリミア戦争よりたぶん少し前)、イギリスの植民地で白人入植者の多くが流刑者だった頃。タスマニアでは先住民のアボリジニが白人に駆逐されていった。(タスマニア・アボリジニは1876年に「絶滅」したとされている)
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タスマニアで軍に奉仕させられていた若いアイルランド人女性クレアが主人公。軍の小隊のリーダーが、囚人たちを監視しているのだが、これが最低の酷い男で、囚人を人とも思ってない。目の前で夫と赤ちゃんを彼に殺され、暴行までされたクレアは、密かに復讐する決意をする。島の南から北の町ローンセストンまで移動(2~3日の道のり)を始めた彼を追って、クレアは深い森の山道に入っていく。でも道がわかるのは現地のアボリジニだけ。白人の奴隷となっていた一人のアボリジニ青年ビリーを雇って、タスマニアの原生林の中を追う。
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始めは相手を毛嫌いしていたクレアとビリーだったが、危険な状況を切り抜けるうち、お互いを理解し認め合うように次第に変化していく。しかし復讐相手に気づかれてしまい・・・
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白人のアボリジニに対する差別意識、白人どうしの民族間の差別(イギリス人とアイルランド人)、いろいろな強烈エピソードを通して、その理不尽さが描かれる。凄惨なシーンがいくつか出てくるので、苦手な人にはお勧めできません。こういう過去があったんだということに、あらためて大きな衝撃。だからマイルールによりこのスコア。